【お知らせ】じんのひろあき監督作品掲載「戯曲デジタルアーカイブ」運用開始!

一般社団法人日本劇作家協会が企画・制作・運営する「戯曲デジタルアーカイブ」が運用開始となりました。
バッカスのスーパーバイザー、じんのひろあき監督の戯曲「キタイ」「いくつもの傷口に唇をおしあてて」の2作品が掲載されています。膨大な言葉量を誇るじんの作品の中から厳選された2作品、そして日本の物語の宝庫がここにあります。

https://playtextdigitalarchive.com/

キタイ

私が大学に入った頃、演劇は小劇場と呼ばれる活動が真っ盛りで、今にして思うと、小さな劇場って呼び方はなんだと思うんだけど、でもそれを言ったら、自主な映画ってなんだよってことになるから、まあ、それはおいといて、とにかく小劇場なるものが大人気でそれはそれは憧れたものです。
で、その小劇場の中でも特に人気のあった夢の遊民社という劇団で作・演出、出演をしている野田秀樹という人がとにかく凄かった。物語はわけわかんないけど、言葉遊びによってなにかしらのつながりを持ち、それがやがて壮大な世界となっていく様に圧倒されたもんです。
いつか、こういうことをやってみたいと思って幾星霜。ようやく物語を書くということと、それを役者に伝達するということの術がわかってきた時、この『キタイ』の執筆に着手しました。

台詞のどこかにできるかぎり『キタイ』という音が入っている台詞を書く。言葉遊びというと聞こえはいいんですが、言い方を変えると全編駄洒落でしかありません。駄洒落によって織りなされた二時間の物語というわけです。駄洒落が駄洒落を呼んで駄洒落を生む。
ベースとなる物語は『南総里見八犬伝』。
ソ連の宇宙船スプートニクに乗せられ打ち上げられたライカ犬から八つの魂が散り、それぞれがある文字を携えて生まれる。彼ら彼女は格闘版のロボコンの選手達として育っていた。スプートニクによって地球を周回する伏姫のしもべ、、大法師(ちゅだいほうし)が彼らを集め、彼らの本当の使命のために立ち上がれと告げる。彼らにキタイを寄せる。イの文字を持つ主人公にキタイを寄せ、彼はイキタイとなり、ウの文字を持つモノ、ナの文字を持つ者……仲間は集まっていくが、テの文字を持つ者はテキタイとなり反旗を翻す。テキタイについた者たちは、ケの文字を持つ者、ニの文字を持つ者、また、ロの文字を持つ者達。彼らはキタイを寄せたところで、ケキタイ、ニキタイと言葉にならない、キタイ外れの者達だった。伏姫の願いは彼らにゲンという城に向かい、天守閣を下れと。八人の犬士達はそれぞれのロボットと共に、福島へと向かう。ゲンシロへ、そのテンシュカクへ。テキタイ率いるキタイ外れの面々もまた、その道中で汚れ、濁点がつき、ケキタイはゲキタイへとなり、テキタイの右腕となる。汚染されたその場所で応戦するイキタイとテキタイ、しかし、力つきた二人は体を交差して倒れる、イキ、テ、タイ…… そして、キタイ外れの者達が残した、ニ、ゲ、ロ……

ある学校に転校生が何人もやってくる。避難してきたという。彼らは自分の庭にいつも植えていたキュウリの種を校庭に植えた。大地から芽が出る。それをこの戯曲『キタイ』は期待と呼ぶ。

じんのひろあき

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